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ワクチン接種「子供にも絶対」という風潮への疑問

ワクチン接種「子供にも絶対」という風潮への疑問 | 新型コロナ、長期戦の混沌 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

同調圧力で思考停止せず各人が冷静に判断を
2021/07/27

新型コロナワクチンの接種が進んでいる。政府は「11月までに希望する全国民への接種」と掲げ、これから子ども・若者への接種も本格化していく。一方で、接種するワクチンはこれまでになかったメッセンジャーRNAという新しいタイプなだけに、長期的な安全性が担保されているわけではない。重症化リスクの低い子ども・若者への接種はどう考えたらよいか。医薬品の薬害と向き合ってきた「全国薬害被害者団体連絡協議会」の勝村久司・副代表世話人は、「リスクとベネフィットを十分に知ったうえで慎重に判断すべき」と訴え、ワクチン接種至上主義に警鐘を鳴らす。

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勝村久司(かつむら・ひさし)/全国薬害被害者団体連絡協議会副代表世話人。1961年生まれ。京都教育大学卒業。大阪府の府立高校教員。1990年、陣痛促進剤による被害で長女を失い、医療事故や薬害などの市民運動に取り組む。厚生労働省の「医療安全対策検討ワーキンググループ」や「中央社会保険医療協議会」、日本医療機能評価機構産科医療補償制度再発防止委員会などの委員を歴任

新型コロナワクチンでは、国やマスメディアが「若い人も、とにかく接種しろ」と大号令をかけている感がある。ウイルスの漠然とした不安をあおり、「家族やマナーを大切にしたいならば接種すべき」といわんばかりの同調圧力もあり、若い人たちが冷静に判断できる環境なのか、非常に疑問を感じている。


――すでに職域接種で大学生への接種が行われています。また、接種対象も12歳以上に引き下がり、一部の自治体では小学生や中学生が接種しています。

高齢者や医療関係者から始められた接種による副反応疑いの事例が厚生労働省のホームページに公開されているが、多くの人が接種直後の発熱や全身の倦怠感、腕の痛みなどを経験している。一方で、それらに比べて頻度は低いだろうが、深刻で重篤な疾患も副反応疑いとして報告されている。アナフィラキシー、心筋炎・心膜炎、脳出血など、命に直結する疾患だ。なかには、ワクチン接種との関連性が指摘され、日本でも添付文書が改訂されるに至っている。


既往症(病歴)などから一定の警戒ができる中高年と違い、子どもは副反応の予測がしにくい。また、子どもや若者のほうが、アナフィラキシーをはじめとするアレルギー疾患も多く、リスクがより高い可能性がある。

日本は過去に、子ども向けのワクチン接種で苦い反省がある。厚生省(現厚生労働省)が1989年4月に導入したMMR(はしか・おたふくかぜ・風疹)の新3種混合ワクチンで、死亡したり、後遺症を残したりする「無菌性髄膜炎」が報告されて大きな社会問題になった。結局、導入から5年で定期接種は中止となり、1000人以上の子どもがこのワクチンによる健康被害の認定を受けた。

新型コロナワクチンの学生や子どもへの接種では、河野太郎・新型コロナワクチン担当相が「夏休みに打ってもらえたらいい」と発言した。結局、文部科学省は学校集団接種を推奨せず、各自の判断を尊重する見解を示したが、もし文科省が推奨してしまっていたら同調圧力を生み、子どもたちは接種を拒否するのが難しかっただろう。

「国が勧めているから」でいいのか

――ただ、子ども・若者への接種については、日本では厚生労働省、海外でも保健・規制当局が「リスクよりもベネフィットのほうが高い」との見解を示しています。懸念を訴えることで、反対に接種の機会を奪ってしまいませんか。

十分な情報がない中で、全否定や全肯定の極論の議論をするつもりはない。ワクチン忌避を誘いたいわけでもなく、非科学的な反ワクチン論争に乗るつもりもない。ただ、個々人がワクチン接種の判断を「国が勧めているから」という理由に依存してしまうのは、問題ではないだろうかと問いかけたい。 国はこのワクチンにはどのような効果と副反応があるのかの説明を十分に国民に示し、国民がその説明の内容に納得した場合に「接種する」という選択肢を選べるようにすべきだ。

一般に、ワクチンの効果や副反応は、感受性の個人差があるだけでなく、人種、年齢、性別、持病などの属性による違いに注視する必要がある。それらの違いにも触れずに、すべての国民をひとくくりにして「リスクよりもベネフィットのほうが高い」と断言するのは疑問が残る。 とくに子どもや若者に対して、本当にそう言い切れるだろうか。

医療で大切なのは、患者に治療のリスクとベネフィットを具体的に説明し、本人が納得して同意する「インフォームド・コンセント」だ。昔はインフォームド・コンセントがきちんとされず、情報が健全に提供されなかったために、「薬漬け」などと呼ばれる過剰な医療も社会問題になった。

――これまでの薬害の歴史を踏まえると、新型コロナワクチンでもリスクが軽視されていると?

私は医薬品で「安全で、有効性がある」と断言してしまうのが、いちばん怖いと思っている。国も製薬企業も専門家も間違うことがあるというのが薬害の反省だ。安全性や有効性の判断、ベネフィットがリスクを上回っているかどうかの吟味は慎重になされなければいけない。

過去の薬害の事例でいえば、肺がん治療剤の「イレッサ」が挙げられるだろう。「副作用が少ない『夢の新薬』」とうたわれ、そのようなプロモーションが広がった。しかし、発売後から副作用による死亡が相次ぎ、添付文書の副作用欄の改訂がされ、決して「副作用の少ない夢の新薬」ではなかった。

同様に、今回のワクチンは、まったく新しい仕組みのメッセンジャーRNA(m-RNA)ワクチンであり、未知の部分が多いはずだ。それだけに、安全性も効果も慎重に見極めていく必要があるにもかかわらず、今回のワクチンをさも安全と言い切ってしまう専門家が多いことに違和感を持っている。現状は肯定も否定もできないから、本来ならさまざまな情報収集をしながら接種を進めていく段階だろう。

医療も薬もワクチンも100%完璧に安全なものはなく、不確実性があるから難しいものであるはずだ。だからこそ、国民に考える材料や機会を与えずに妄信的に接種を進めようとさせるのは、かえって信頼を欠くことになるのではないだろうか。

専門家が下した結論に従うことが「科学的」?

――情報発信のあり方として、どのようなものが望ましいですか。情報の受け手側は、どうしたらよいでしょうか。 

科学的思考を求めながら、何も考えずに専門家が下した結論に従うことが「科学的」であるかのような論調も少なくない。いろいろな意見を持つ専門家がおり、セカンドオピニオンも必要だ。きちんと根拠を示し、論理的にも飛躍がないか、専門家の意見を吟味できるだけのリテラシーを身に付ける必要がある。そのためにも、できるだけありのままの1次情報が国民に伝えられていくことが大切だ。

例えば、新型コロナワクチンで承認されたファイザーのワクチン(販売名:コミナティ筋注)の「医薬品インタビューフォーム」には、「承認時において長期安全性等に係る情報は限られている」と記載されている。また、モデルナのワクチン(販売名:COVID−19ワクチンモデルナ筋注)についても、「短期的な有効性と安全性が示された」という表記にとどまっている。

インタビューフォームは本来、医療従事者向けに作成されているが、一般の人でも厚労省所管の「医薬品医療機器総合機構」(PMDA)のウェブサイトで閲覧できる。このほか、「添付文書」や認可された経緯が書いてある「審査報告書」なども掲載されている。こういった公的なデータをもとに情報発信し、そのうえで接種を判断するのが望ましい姿だろう。

また、厚労省に報告された副反応の情報も、厚生科学審議会の「予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」の資料として公開されているし、その資料をもとに専門家がどのような議論をしているかがわかる議事録も掲載されている。この議事録は、誰でも読めるような内容であり、関心のある人はぜひ、健全な議論がなされているかなどチェックしてみるとよいと思う。

しかし、実際は、新型コロナワクチンの接種をすでに受けた大人でも、PMDAや厚労省が公開しているデータ等を自身の目で確かめることなく、テレビや新聞の情報だけで判断した人もいるはずだ。日本では、長年にわたり、患者が医療について何も考えずに医師に言われた通りしていればいいという土壌が長く続いたために、医療情報の共有の文化がまだまだ希薄だ。大人ですら自ら正しく判断できているのか疑問なのに、学生や子どもたちはもっと翻弄されてしまっているのではないか。

大人も医療消費者の視点に立ち戻る必要がある

――子どもの保護者はどう判断したらよいですか。

子どもが大変な被害を被った「サリドマイド事件」や「薬害エイズ」の反省を受けて、1999年に厚労省の敷地内の前庭に「誓いの碑」が建立された。建立された8月24日にはそれ以降、毎年、厚労大臣が「薬害根絶の誓い」を続けている。また、2011年からは全国のすべての中学校3年生に「薬害を学ぼう」という教材冊子が配布され、「子どもたちを将来、薬害の被害者にも加害者にもしない」という取り組みが進みつつある。

ただし、薬やワクチンに関して医療消費者としての視点での教育は、まだ十分に進んでいないと感じている。先ほど話した添付文書やインタビューフォームは公開されているものの、医療従事者向けだから一般の人からすればわかりにくい。「難しそうだから、よくわからないだろうから」と思い込んで自分で調べたり考えたりしなくなってしまわずに、判断する大人もこの新型コロナワクチンを受けるかどうか、医療消費者の視点に立ち戻る必要があるのではないかと思う。

――医療消費者の視点とは?

人間にとっていちばん大事なのは、当たり前だが普通に生活ができることだ。だからこそ、人間にとって医療は大切で、必要な医療は受けるべきだが、薬やワクチンには必ず副作用がある。薬を飲めば飲むほど、ワクチンを打てば打つほど健康になるわけではない。

一方で、ワクチンは巨大な公共事業の側面もある。接種は無料であるが、実は国が税金から企業に多額の支払いをしている。製薬企業は世界中で、政治家へのロビー活動、専門家への研究資金の提供、さまざまなプロモーション活動などをしているだろう。公共事業のどこまでが必要なもので、どこからが過剰で無駄遣いになるかの線引きは難しいだけに、納税者でもある私たちはワクチンを消費者の視点で吟味する責任もある。

感染しただけでもバッシングするマスメディア


感染しただけでバッシングをするマスメディアの論調を見ていると、「ワクチンを接種していない」だけでもヒステリックなバッシングを受ける不安を感じるかもしれない。それが同調圧力であるだけに、とくに学生や子どもたちにそういう恐怖心を与えるような社会であってはいけないと思う。

新型コロナウイルスは、パンデミックと言われてから1年半が過ぎ、中高年の肺炎が急速に進行するなどの怖い面があるが、子どもや若者にとっては、現状ではインフルエンザウイルスや、旧来のコロナウイルスによる普通の風邪との違いがわかりにくい状況になっている。

ウイルスでは死亡しないのに、体育授業中のマスクの熱中症やワクチン接種で死亡するようなことがあれば、本末転倒だ。感染しても無症状も多く、発症や重症化の割合が少ない子どもや若者に対して、ワクチン接種と自粛を求め続けることが、本当に子どもや若者の健康、そしてQOL(生活の質)を守ることにつながるのか、立ち止まって考える必要があると思う。